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深沼による『Ⅲ』全曲解説 1. Silver tongue (words&music:Fukanuma) Gheeeのリード曲は狙い撃ちで書くようにしている。この曲も「次のアルバムの中心となる曲を!」とかなり意気込んで書いた曲。メンバーみんなの見せ場が交替でやってくるという部分を意識してアレンジした。今回のレコーディングは、リズムセクションのレコーディングが2010年の夏でその後かなり期間が空くかたちで行われた。その後のライブでの多くの演奏を踏まえて、ベースはHisayoちゃんが自宅で録り直した。アルバム全体の幕開けとなるベースのリフは最初の1小節から説得力のある演奏だ。ちなみに「弁が立つ/口が達者」のがなぜSilverなのかというと沈黙こそがGoldであるかららしい。そういう意味で言えば、この曲解説など蛇足に過ぎないのだろう。 2.Fast as nozomi (words:Kondo&Fukanuma/music:Fukanuma) 新幹線のネーミングには感心させられる。音速<高速<思念という見事なクラス分けがなされている。ということをいろいろ考えているときに作った曲。ネナ・チェリーの「ロウ・ライク・スシ」というネーミングセンスインパクトも脳裏に残っていた。個人的に演奏の難易度が高く、歌いながらじゃなければもっとなんとかなるものを…というジレンマと戦いながらのプレイとなる。ドラムに関してもデモの段階からかなり難しそうなアレンジだったのだが、YANAさんがさらに派手(かつ叩きにくい感じ)にして自らを追い込んでいる。 3. The brilliant mexican blues (words&music:Kondo) 近藤さんらしいセンスが光りまくる曲。コーラスも彼のアイデアである。近藤さんの曲はある意味では自分の曲よりもギターアレンジを考えるのが楽しいし、予想しえないような思わぬフレーズが自分から出てくるのが面白い。YANAさんのドラムは、このBPMでこのパターンを延々と叩かせるという、人によってはある種の拷問なのだが、インターバル無しのGheeeのライブでもそれを苦もなくグルーヴィーに演奏出来るのが彼の凄いところ。「Silver tongue」と並ぶこのアルバムのリード曲的存在だと思う。 4. Pretty insane ride (words&music:Fukanuma) かなり早い段階で出来ていた曲で、ライブでも数多く演奏してきたため、ベーシックトラックはほぼワンテイクで録ってしまった。とはいえ、歌詞を大幅に書き変えたため、歌録りは古い歌詞の歌唱に負けていると感じて何度も録り直した。キー的なマンネリ(リフ中心だとどうしてもE、A、F#等シャープ系が多くなる)を脱する為にキーFで作った。(前作のRunaway Pigeon Busなども同様の理由でDフラットという変わったキー)キーの傾向が違うと当然声や楽器類の響きが変わって新鮮に聴こえる(必ずしも良い結果になるとは限らない。たまに失敗して弾きやすい自然なキーに転調することも) 5. Love in the shelter (words:Kondo/music:Fukanuma) これも早い段階で出来ていたのだが、いろいろとアレンジを試行して現在の形に。頭の中の近藤さんシミュレーターを全開にして、近藤さんが自然に自身の書いた曲であるかのように歌えるような曲を、という意識で作曲した。アコースティックギターで左右に壁を作り、その内側にまたエレキの壁、というこのアルバム内では厚めの音作りにした。 6. Rainbow chasing (words&music:Fukanuma) この曲と「You're my plane」はアルバムのために書き下ろした。Gheeeは普段ライブでの即戦力優先で書いていくため、わりとこういった曲調は作る機会を持ちにくかった。実はもう少し速いテンポで書き始めたのだが、サビの歌詞が早口のためうまく舌が回らず途中で現テンポに落とした。作曲初期段階で弾き語りで歌っているときは局面で勝手にテンポを調整して歌っているんだな、と同一テンポ上でデモを録音するときになって初めて気付くことも多い。 7. Bloody Tiffany (words:Kondo/music:Fukanuma) これも既にライブの定番曲に近い存在になってしまっている。リズムセクションの二人はあっさりとレコーディングしていた。ドラムスとベースの絡みは素晴らしく、ここに乗っかってリフを弾くのは気持ちが良い。とはいえ逆に1本で弾き切るアレンジに慣れてしまったため、広げるのにいろいろと試行錯誤した。タイトルを考えたのは俺で、作詞したのは近藤さんなのだが、無茶なお題に対して素晴らしい歌詞で応えている。 8. Guess (words&music:Kondo) 正にツインボーカルじゃないと成立し得ないようなメロディーラインで、こういった曲は近藤さんならではである。この曲はデモが届いて2回合わせた程度で即ライブに投入された。いわゆるキメも多いのですぐには覚えきれず足元に歌詞と構成表を貼付けて演奏していた。まだまとまっていない段階でもすぐにライブでの演奏に踏み切る勢いの良さも近藤さんならでは、である。 9. Tumbling flowers (words&music:Kondo) 近藤さんの原曲はもっとエレキギター中心の感じだったのだが、メロディーの綺麗さや、アルバム全体を見据えたバランスも考えて思い切ってアコースティックギター中心のアレンジに。レコーディングの一番最後に録ったのがこの曲のギターソロで、いい加減ネタも尽きてヤケになって弾いた感じなのを近藤さんが気に入って、彼の意見でさらに音量レベルが大きくなり異物感満点である。 10. Loop road #8 (words&music:Fukanuma) 通称「環八」前回の「レコンキスタ」のツアー最終日に既に演奏されていた、アルバム内で最も古い曲で、感覚的には未リリースであることが不思議なくらいである。たっぷりとライブで鍛えられているので、レコーディングは一番仕上がりが早かった。俺は俺の道を行くー!と曲の最後に絶叫というのは自分の芸風を考えるとなかなか日本語ではやりにくいが、まあもともと英語圏の音楽なので許容範囲が広いということかと。 11. Chain (words&music:Kondo) ある意味、最もギターアレンジに時間がかかった近藤さんの曲。輪唱のような部分はメモを取りつつ構成した。ライブでどうするのか早くも悩みの種である。この曲も歌詞が素晴らしいと思う。近藤さんの声はたまになんというか魔力的雰囲気を醸し出すときがあり、この曲でもそれが遺憾なく発揮されていると思う。淡々と鬼気迫る、という感じ。 12. You're my plane (words&music:Fukanuma) 前述のように、アルバムのために書き下ろすようなかたちで作った曲。即ライブ投入前提ではない曲作りならではの転調や音作りがなされている。静かめな(でもポジション的に弾きにくい)リフと歌を同時に…ということを考えると、こんな文章を書いてる暇があったら練習しなければ、といったところだ。これも最後のほうでギターソロを録ったので、かなり勢いにまかせて弾いている。あまりに思いつくままに弾いているので、再現は難しい。俺は基本的にレコーディングされたギターソロはなるべくそのまま弾きたいタイプなので、やっぱり解説はこの辺にしておいて練習しなくては。 最後に、制作にかかわったスタッフの方々、そして、アルバムを買って聴いてくれている皆さんにお礼を言いたい。ありがとう! |
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